香川県東かがわ市の手袋産業は、日本の90%の生産を担っている。
歴史は深く、手袋の「形」も「手法」も沢山ある。
新しい手袋を作ろうと考えた場合、
デザインだけを新しくしても、
売れたか/売れないか、良いものか/悪いものか、という判断をするしかない。
手法もほとんど完成していて、新しい手法は、滅多に生まれない。
それは、成熟した「産業」であれば皆が持っているジレンマではないだろうか。
これは、絵描きでも同じである。
絵を描く手法は出尽くしていて、新しい絵を生み出すことは容易ではない。
「手袋産業」とは、「手袋」という概念の後を作っていくこと。
「アーティスト」とは、「何も無い」ところから「概念」を作る人。
高橋信雅は、絵の具を混合する(ミクストメディア)画法を使うアーティスト。
「誰も見たことがない新しい絵の具」を作り、絵の世界で新しい手法を提案している。
高橋信雅は、その考え方を生かして「新しい手袋」が出来ないかと考えた。
「新しい手袋を作る」の「新しい」とは何を指すのか?
高橋信雅は「新しい=誰も見たことがない」と位置づけた。
すると、手袋において「見たことがない素材」は沢山ある。
「素材」以前にも、手袋の「見たことがない考え方」や「見たことがない方法論」を見つけることは、
現代の情報社会においてはわりに容易である。
よって、このプロジェクトは「誰も見たことがない」度合いを量り、立証することを目的とする。
究極の「誰も見たことがない」を作り出した時、プロジェクトは成功といえるのではないだろうか。
例えば、外では黒い手袋なのに、建物の中に入ると白く色が変わる。
これは、project.1にて展開予定の「変温色手袋」で解決している。
この場合、手袋自体の形は変わる事が無く、変温インクの糸の開発となる。
「誰が見た事も無い」素材を作る事により、手袋の形を変えずにこの問題を解決しているのである。
「産業」をコンセプトに「アーティスト」が「工場」で出来ること。
それは「形(色、形、大きさなど手袋そのもの)」を作るのではなく、
誰もが使うことのできる「概念(基本)」を作るということではないかと考えた。
「概念」であれば、「産業」に関わる人すべてが、その考え方を利用することができる。
「概念(基本)」を理解し、うまく利用できたものすべてが恩恵を受けられることになるだろう。
これが今回、「アーティスト」高橋信雅が導きだした「答え」である。
今回「新しい手袋」を作るにあたり、高橋信雅は、誰も見たことのない新しい手袋の制作に向かい。
既存手法の解体、既存手法の開拓を主に行った。
上記をふまえ、高橋信雅は10件のプロジェクトを提案、内7件がプロトタイプ作成(3つは停止)に至った。
それに1件の新しいプロジェクトを追加して、
現在、8件のプロジェクトを「株式会社フクシン」とともに進行中である。
1973年神奈川県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。
東京板橋のアトリエ「ばあちゃんハウス」から世界に向けて発信しているアーティスト。
具象画を好んで描き、線描による独特の表現はさまざまなスタイルを持ち、
いくつもの仕掛けを絵に組み込む手法で、独自の世界観を魅せている。
http://www.nobumasatakahashi.com/
1977年香川県東かがわ市白鳥に手袋販売商社「福新手袋(株)」を起業。
1992年に社名を現在の「株式会社フクシン」に改称し、現在に至る。
オリジナル商品を主に企画・製造・輸入・販売、全国約3500店舗への売場提案力と追加補充力を強みに、
ラックジョバー・プロモーションにて手袋という商品を供給させている。http://www.fukushin.co.jp/
NNは、個と個をつなぎ、「人の心を動かすもの」を最優先し、「人」を対象として行動します。
株式会社 NN(えぬえぬ)は、桑沢デザイン研究所1995年度卒 同期、藤沼憲隆(ふじぬまのりたか)と
高橋信雅(たかはしのぶまさ)により行なわれている実験的会社です。
NNは二人の名前である NORITAKA/NOBUMASA の頭文字を取ったものです。
持ち込まれた企画、アイデアに対しての投資、展開サポート、
そこから生まれた著作権の保護など、制作に関わることを最優先し、制作者の視点からそれらを行なう試みを行っています。
それにより、より多く「夢のようなことを実現化できる大人」を増やして、
日本を、そして世界をより面白くできればと考える次第です。http://www.enuenu.com/
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